マジックの世界大会1位!徹底分析!
マジックの世界大会1位!徹底分析!
以前、マジックのコンテストの審査基準とおすすめマジシャンのランキング記事を書いたのですが、審査基準とその審査結果だけしかお伝えしてないので、今回は実際具体的にマジシャンをどのように分析して、どのように審査するのかを述べたいと思います。マジックのオリンピックFISM2015年大会ジェネラル部門1位であるKim Yonug Min氏をサンプルとして分析したいと思います。
以前の記事を見たい方はこちら↓
また、今回取り上げている世界大会であるFISMの詳細についても知りたい!という方は以下の記事をご参考ください!
紹介
Kim Young Min氏は前述の通り、世界大会1位にまでのぼりつめたわけですが、世界大会であるFISMのアジア予選のFISM Asiaでは彼は1位ではないのです。そこから約1年、大きな進化を遂げて、世界大会でタイトルを獲っていきました。彼はどうして勝てたのか。徹底的に分析していきたいと思います!
彼の演技映像は以下に貼っておきます!必ず見てから次に進んでください!
審査項目ごとの配点と徹底分析
詳しい分析に移る前に、審査項目と配点をおさらいし、実際にKim Young Min氏の点数について述べていきたいと思います!それぞれの項目は0.5点刻みでつけていきます。
テクニカルスキル(技術点) 30点
使用している道具の扱いや技術をきちんと身につけているか? 6点
演技はマジシャンの技術の範囲内で行われていたか? 6点
難しい技術は入っているか?またその技術を扱う時の手つきはどうであったか? 6点
ミスディレクションを上手く用いているか? 4点
タネが見えていないか? 4点
マジシャンの起こす現象はお客さんを騙せていたか? 4点
上二つの項目に関しては、ここまでのレベルになると、ほぼ満点の人がほとんどです。6点ずつで問題ないと思います。
難しい技術についてですが、これは入っていません。もしかしたら気づいたかもしれませんが、ほとんど技術を必要とするマジックを行っていません。しかし、最初の棒を使ったパートにおいて少し技術を使用しています。
2.5点
これも専門家でないと分からないかもしれませんが、ミスディレクションは用いていません。ミスディレクションを用いたマジックというのは、「いつの間に!」「気づかなかった!」などの感想が出てくる現象の事です。彼のマジックは全て直接的なものなので、ここの項目は低くなります。
1点
タネが見えていないか。これは見えていたら上位にそもそも入れません。全く見えていませんね。
4点
十分騙せていたと言えるでしょう。しかし彼の演技は世界観などを重視したマジックであり、不思議な現象!という感じではありません。
3点
これらの点数を合計すると、22.5点となります。
ショーマンシップ(演出、表現力) 25点
マジックは直接的で論理的であり、理解しやすいものであったか? 5点
マジシャンのキャラクターはマジックに沿うものであったか?また、演技中一貫していたか? 4点
マジシャンの動きやは自信にあふれ、適切なものであったか? 4点
マジシャンの動きがマジシャンの演技をより良くするものであったか? 4点
衣装や舞台のセット、使う物のディスプレイなどはどうであったか? 4点
音楽や照明と合っていたか? 4点
マジックはとても理解しやすいものでしたね。どういう事?となったシーンは1つもないと思います。
4.5点
彼のキャラクターは神ですね。万物創造のマジックにふさわしく、ゆっくり重々しく、1つの花に触れるのにも優しく触れる彼の動きは完璧だったと言えるでしょう。例えばここで、神らしくないポップな動きなどをしていたら減点の対象になったでしょう。
4点
これはマジシャンのキャラクター上、仕方ありませんが、自信なさげに悲しそうにするシーンがあります。これはもちろんキャラクターの感情や動きを見れば、正しいものなのですが、自信のない表情というのは、お客さんを不安にさせる要因になりえます。そのためやや減点が入ります。
2.5点
この項目は文句なく満点ですね。彼の祈るような動き、砂に座り花を見つめる動き、リングを天にかかげる動きどれを取っても、彼の演技に完全に合っており、彼の演技が良い理由になっています。
4点
衣装もマジシャンがよく着るような燕尾服やジャケットを用いず、舞台セットも砂に咲く枯れかけの花と状況をイメージしやすいものを用いています。
3.5点
音楽や照明との合わせ方も素晴らしいですね。後半にかけて盛り上がる曲、リングが砂とともに消えていくシーンは圧巻でした。また神秘的な空気感を作り出してくれているのも曲のおかげである部分は大きいです。これも満点でしょう。
4点
合計22.5点と驚異的なスコアです!彼が得点を稼いでいる項目はここだったんですね!
オリジナリティー(独創性) 20点
新しい現象や手法、表現はあったか? 4点
革新的なものであったか? 4点
キャラクターは新しいものであったか? 4点
きちんとした根拠のもと珍しい現象をしているか? 4点
一見普通の現象が、ある方法によって画期的なものになっているか? 4点
砂が空中で途切れる現象、リングが砂になる現象は新しいものです。しかし、棒のパートや花のパートなど既存のものも大きく含まれています。
3点
砂を用いるという点は非常に革新的であると言えます!しかしこの項目で満点が与えられることはないでしょう。革新的のハードルは非常に高いのです。
3点
神というキャラクターはマジック史上誰も行ったことはありません。文句なく満点です。
4点
この項目はやや怪しいですね。万物創造という観点からいくならば、棒や花、リングを出していくのは問題ないのかもしれません。ただ、初見でこのマジックを万物創造、万物の操作のマジックだと分かる人が何人いるのでしょうか。
3点
これは棒のパートで特に言う事ができます。昔から棒が出たり、消えたりというマジックは存在したのですが、これに砂という要素を加える事で、神秘的な現象に仕上げています。
3点
合計で16点です。
アーティスティックインプレッション(構成) 10点
芸術的なパフォーマンスであったか? 2点
演技はなにかしらの感情を引き起こすものであったか? 2点
現象はキャラクターにあったものであったか? 1点
最初および最後のインパクトは強いものであったか? 1点
最初から最後までスムーズに引っかかることなくお客さんは見る事ができるか? 1点
納得のいく終わりに向けて演技は構成されているか? 1点
テーマを表現するのに使う物は適切か? 2点
これを芸術と呼ばずしてなんと言うでしょうか。
2点
非常に神聖な、凍てつくような気持ちにさせてくれますね。かすかな興奮まじりの神秘さに酔いしれます。
1.5点
現象とキャラクターは非常に密接にからみあっているので、文句なくあっていると言えるでしょう。
1点
最後のインパクトは非常にありますね。砂を投げ上げ終わるあのポーズはとてもかっこいいものです。ただ最初のインパクトはやや薄いと言えます。
0.5点
最初から最後まで引っかかることなくというのは厳しいかもしれません。なんで棒を使うんだろう。なんでリングでてきたんだろうと思う方もいらっしゃるかもしれません。
0.5点
この万物創造の演技の納得いく終わりというのは世界創造ではないでしょうか。砂を投げ上げて終わるというのは、納得という観点からいくと納得感は薄いですね。
0.5点
砂を用いた時点でこの項目は満点をつけざるおえないでしょう。適切であると言う事ができるでしょう。
2点
合計8点ですね。
エンターテインメントバリュー(楽しさ、盛り上がり) 10点
演技は見ていて、楽しいものであるか? 2点
お客さんの反応は良いか? 2点
マジックの現象は理解しやすいものか? 2点
テレビ番組に向いているか? 2点
何度も見たいという意欲にかられるか? 2点
神秘的ではありますが、楽しいという感情を想起はさせないですね。
0.5点
終わった後の歓声から察するにかなりお客さんの反応は良いと言えるでしょう。
2点
マジックの現象で理解できないというものは存在しないのでここは満点でしょう。ここの項目はやや他の項目と被っていますね。
2点
演技終了後に砂がばらまかれるこの演技は非常にテレビに向いてないと言えるでしょう。また、気軽に演じる事もできないので、ショーにも向いていません。コンテストに特化した演技ですね。
0.5点
著者自身はまってしまい、何度も繰り返し見てしまいました。ここはかなり主観が入る項目ですね。
2点
合計7点です。
マジカルアトモスフェア(雰囲気、魔法感) 5点
現象を起こすにあたって、怪しい動きなどは無かったか? 3点
演技は魔法感や幻想感を伴っているか? 2点
後ろから持ってきた手や花びらを出している時の手などやや怪しい点はいくつか存在します。
2点
魔法感、幻想感の塊と言えるでしょう!
2点
合計4点です。
まとめ
全部合計すると80点になります!非常に高いですね!
その結果、世界大会のタイトルを獲るわけです。これは別のエンターテインメントでも共通する事ですが、もちろん新しいアイデアや表現なども大事ですが、
コンテストに勝つには結局、完成度が一番大事。
部分、部分に目がいきがちですが、結局は全体の完成度ですね。
ただ、マジックのコンテストの審査は主観で決まりがちです。ここの問題はかなり難しいので、また別の記事で取り上げたいと思います!
暇な時にマジシャンの審査をしてみても楽しいと思います!ではまた!
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