マジシャンの日常

マジシャンとして活動しています。マジシャンの裏側やマジックの秘密、また、マジシャンの視点からエンタメについて思う事、様々な役立つ情報などを綴ります。

マジック界の世界大会!オリンピック!FISMとは!?

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 マジックの世界大会!オリンピック!FISMとは!?

今回は以前の記事でも度々登場しているマジックの世界大会であり、オリンピックFISMについてです!

そもそもFISMとは、世界各国の団体が加盟する、マジックにおける世界最大規模の連合体の事であり、現在では3年に1度開催されるマジックのオリンピックの事も指して用いられています。期間としては約1週間程であり、朝8時から深夜11時に至るまで昼夜ずっと会場のどこかでマジックが行われています。著者自身も行った事があるのですが、世界中にこんなにマジシャンがいるのかと思う程多くのマジシャンが集まり、出場者としても約150組ほど集まります。非常に熱気を帯びたとても楽しい経験でした!

 

fism.org

 

またこのFISMには予選というのも存在し、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北米、オセアニアの各大陸において予選が実施され、さらにその予選に出場するために国内予選も行われます。またその国内予選に出場するのにも推薦や審査などを必要とします。たくさんのハードルを超えて集まった150組なわけですね。

 

 

 

部門別表彰

陸上の短距離走にも100メートル走や200メートル走、110メートルハードルなど色々な部門が存在するようにマジックにもたくさんの部門が存在します。しかし、陸上などとは違って、重複して登録する事はできません。大きく分けてステージマジック部門とクロースアップマジック部門とに分けられますが、これらの分類については別の記事で解説しています。そちらをご参考ください。

 

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  • ステージマジック部門

ステージマジック部門の中でもさらに部門分けされており、各部門の1位の中からステージマジックグランプリが選出されます。

 

・マニピュレーション(テクニック)部門

 この部門はステージマジックの中でもテクニック、技術に主眼を置いたマジックの部門です。マジックの現象を再現するにあたり、自身の指先、手先の力で物を操る事で成り立たせるものを言います。自身の手で操作するため、操る物はボールやカード、棒など小さいものになってしまいますが、高度な技術と洗練された動きを要求される部門になっています。マジックの現象自体に主眼を置くため、テーマやコンセプトなど無い事が多いですが、最近では次に紹介するジェネラル部門との境界が曖昧になってきており、テーマを持つテクニック部門のマジシャンも出てきています。具体例として、FISM2012のステージマジックグランプリに輝いたYu Ho Jinを載せておきます。

 

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・ジェネラル部門

 この部門は自身の技術ももちろん用いますが、装置やギミックの力を利用して、マジックの現象を成り立たせるものを言います。一応こういうことにはなっていますが、最近の主流としては、マジックにキャラクターがある演技やストーリーがある演技などをテクニック部門ではなく、ジェネラル部門に配置している事が多いです。マジックの現象のみを伝えるのがテクニック部門、マジックを利用してもっと広いテーマや世界観、コンセプトを伝えるのがジェネラル部門という事です。テーマやコンセプトがあるマジックというのも想像しづらいと思うので、FISM2015ジェネラル部門の1位の演技を載せておきます。

 

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・コメディマジック部門

 この部門は方向性としてはジェネラル部門に近いですが、マジックを用いてキャラクターの面白さや滑稽さなどを伝える事でお客さんに笑いをもたらすようなマジックの部門になります。コントにマジックが融合されていると考えた方が分かりやすいかもしれません。

 

・イリュージョン部門

 この部門は非常に分かりやすいですね。大きな装置を用いて、人体交換や人体切断、浮遊などの現象を起こすマジックですね。やや似た現象に偏ってきているのが欠点ではありますが非常にインパクトのあるマジックを起こせます。また以下に、著者おすすめのイリュージョンマジックのマジシャンを載せておきます。

 

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・メンタルマジック部門

 この部門はお客さんの心を読む、考えを当てるなどの現象にいかに素敵な演出や表現をのせるか、どんな思いをこめるかなどが重要になってきます。マジックのスタイルとしては、以前日本で流行ったDaiGoのメンタリズムを想像してもらえれば分かりやすいと思います。なぜステージマジック?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、表現の仕方次第では1万人相手にでもマジックを伝える事ができる数少ないジャンルだからだと思います。テレビで見る時はもちろん近い距離で行っていますが、FISMではステージマジックに分類されています。

 

ステージマジック部門のマジックは以上です。続いてクロースアップマジック部門にいきましょう。

 

・クロースアップマジック部門

クロースアップマジック部門にもグランプリが存在します。それではそれぞれの部門を見ていきましょう。

 

・カードマジック部門

クロースアップマジックを構成する上で外せないのがトランプです。マジシャンと言えば、トランプを一番に想像するという方も多いと思います。そのため、トランプを用いたマジックだけの1位を決める部門ができました。FISM2015のカードマジック部門1位の演技を是非ご覧ください。

 

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・マイクロマジック部門

 この部門はいわゆるクロースアップマジックの距離で行うマジックのうち、トランプ以外の物も用いるマジックになります。例えば、コインやタバコ、輪ゴムなどです。その名の通りマイクロな小さい物を用いる部門ですね。参考として、FISM2018のクロースアップマジックグランプリの演技映像を是非ご覧ください。

 

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彼についてはまた別の記事にまとめていますので是非そちらもご覧ください。

 

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・パーラーマジック部門

 パーラーマジック部門とは、カードマジック部門やマイクロマジック部門などよりも遠い距離で行うマジックの事です。ただ、ステージマジックほど遠くはありません。クロースアップマジックとステージマジックの間のような感じで想像すると分かりやすいかもしれません。正直このあたりも境界線があやふやになっているところではあります。参考までにFISM2015クロースアップグランプリの映像をご覧ください。イメージが掴みやすいと思います。

 

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部門(捕捉)

・インベンション部門

 上記の部門の他にもインベンション部門もあります。直訳すると発明部門になりますが、これについては他の部門と重複して出場する事になります。インベンション部門用に新しく出場するわけではなく、そもそも出場している部門での演技をインベンション部門としても評価する事もできるという事です。これは例えばとても新しいギミックであったり、キャラクターであったり、現象であったりが多く入れられており、マジック界にとってとても発明的であるとされた者が評価されます。特別賞のようなものと考えて問題ないです。インベンション部門での受賞を目指してマジックをしている人は一人もいません。

 

・オリジナルアワード

 FISMの評価基準の中にオリジナリティーという項目があるのですが、そのオリジナリティーの項目の点数が最も高かった者、すなわち最も個性のあったマジシャンに贈られる賞です。FISMの上位ランカーはほとんどマジックの現象や表現などがオリジナルになってくるわけですが、その中で選ばれるという事は、とても栄誉ある賞であり、世界中からオファーがくるようになります。FISMの審査項目について詳しく知りたいという方は以下の記事を参考にしてください!

 

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テレビ放映はされないの?

 現在はテレビ放映されていませんね。テレビでやってくれたら見るのにという方も多いでしょう。2006年のFISMまではNHKで放映されていましたが、2009年以降放映されていません。また、FISMの2015年大会はイタリアで行われ、テレビ局がスポンサーだったため、イタリアのテレビで放映されたのですが、この時テレビ側の対応があまりにひどかったため、出場者の多くが困惑し、ベストなパフォーマンスをできなかったと伝えられています。その被害の大きさを象徴する1つの事件があります。ホアンマヨラールというFISM2015年大会のジェネラル部門1位候補と呼ばれていたマジシャンが多くのマジシャンの悲痛な叫びを代弁し、自身の演技中に抗議のプレゼンを始めたのです。そんな彼のプレゼンが終わった後には、大会最高の、最長のスタンディングオベーションがなされました。そんな彼の勇気ある行動は動画に残っています。

 

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こういった所からマジックの課題点が見えてきますね。マジックという芸術をタネを見破る競技だと考えている人も少なくないはずです。テレビに動画が残ってしまうとタネが見破られる可能性も高くなるわけですから、こういったFISMのような最先端のマジックは世に送り出されないまま終わってしまう事になりがちです。マジックの本質とも関わるこの問題はまた別の記事で述べようと思います。

 

まとめ

マジックのオリンピックFISMいかがだったでしょうか。ほとんど知らない世界だったと思います。おそらく今後、日本でFISMのテレビ放映がされる事もないでしょう。なので次回はカナダのケベックであるFISM現地に向かうか、国内のマジックイベントに目を向けてみてはいかがでしょうか。マジックイベントの情報を知りたい!という方は以下の記事を参考にしてください!ではまた!

 

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